「新しい生活」   その14



          新しい生活

           その14


「もしこのマイ・ボックスを使いたければ『相談室』に行けばいいよ。受け付けてくれるよ。あなた方どうですか? 使いたい?」
「そうだなぁ、申し込んでもいいような気がするなぁ」 と僕が言った。
「私は今のところまだという感じですけど」 と川上さんが言った。
「まぁ、当然『地上』のように使用料だとか賃貸料とか、期限なんていうことはないから気楽に考えていいよ」

「じゃ、ま、この辺で案内ツァーはひとまずおしまい、ということでいいよね。あと図書館とかコンサートホールとかあるけどわしが君たちを案内するというほどでもないようだしね」
「どうもありがとうございました」 僕たちがお礼を言った。
「わしはさっきのカフェに戻るかな。だいたいはあのカフェにいるから何か聞きたいことあったら遠慮なく来なさい」
「今から僕はどうしようかなぁ。図書館に行ってみたいような」
「遠藤さんは図書館?いいですねぇ。でも私はちょっと休みたいです。体が疲れたというわけではないのですが、なんだか新しいことばかりで頭がぼーってしてるようで」
「そりゃ、そうです。当然だよ。ここに来た人たちは大体がボケーッてしてるもんね(笑)」 川端さんが言った。
「『集会所のような所』に行こうかな」 と川上さんが言った。
「そう、そこがいいでしょ。それで君のほうは図書館ね。 図書館は、受付のある建物の裏にある。すぐわかるよ。いかにも図書館っていう建物だしね」
「じゃここで一旦解散!ということで(笑)」 川端さんが言った。
「どうもありがとうございました。」 僕と川上さんが言った。
「じゃあね」


二人と別れて僕は図書館へと向かった。図書館はレンガ造り風で落ち着いた雰囲気のある建物だったが窓がなかった。とにかくここの建物はどれもこれも窓がないようだ。中に入るとカウンターには女性係り員が二人座っていた。思ったより広い館内にはちらほらと人がいた。とにかくひまなんだから本でも読まないと退屈だろう。藤沢周平あたりの時代小説なんかが適当かなと思って棚を探すと藤沢周平全集がズラァっと並んでいた。時間はたっぷりあるのだ。飽きがこなければ全部読めるだろう。とりあえず第1巻、第2巻の2冊を借りることにした。受付で貰ったIDカードで貸し出し処理がすぐできた。返却期限は3週間だ。

マイ・ボックスを使いたかったので相談室にも行ってみた。応対してくれる相談員は小川さんではなかったけれど親切に説明をしてくれた。IDカードの提示を求められた。相談員は空きのマイ・ボックスのいくつかを示してくれた。僕はどれでもよかったので適当に選んだ。建物の番号はF53、マイ・ボックスの番号は17だった。相談員は地図にその場所に印をつけて渡してくれた。「ご一緒してご案内もできますが」と言ってくれたが一人で行けそうなので断って礼を言って相談室を出て選んだマイ・ボックスへ向かった。

          つづく





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