「新しい生活」   インターミッション および その26

           インターミッション

インターミッションは久しぶりになるでしょうか。
何となくですが、この小説「新しい生活」も終わりが近づいてきているのかなと感じています。作者がそう感じるのだから確かでしょうねぇ(笑)。

さてこの小説には実はある事柄が二つ隠されている、あるいは埋め込まれていると言うのでしょうか、そういう事柄があります。

それは何でしょうか。お読み頂いている方へのクイズとなるのですが。
一つは文芸的なこと。もう一つは理科的なことです。
ひょっとすると初めの文芸的なことについてはお気づきの方がおられるかもしれません。
これまでの内容で推定可能です。

お分かりの方はコメントまたは拍手コメントでお知らせください。お待ちしております。(無理だろうなぁ^^;  そんなぁ、失礼なことを言ってはダメでしょ)。正解の方には・・・賞品は・・・ありません^^;
僕の称賛の言葉だけですね。すみませんが。



          その26

画面は幅が1mぐらい、高さは数十cmぐらいの大きなスクリーンだった。
画面の前に操作パネルがあり、その前に椅子があった。
川上さんは椅子に座ったけれど、そのままじっとしてた。最初は何も映っていないスクリーンを黙って見つめていたけれども、そのうちうつむいてそのまま動かなくなってしまった。膝の上に置いた両手を強く握りしめている。
僕は傍らの椅子に座って川上さんが画面を操作するのを待っていた。しかし川上さんは何もしようとするようでもなかった。

「川上さん・・・、川上さん、どうされましたか?」
川上さんの返事がなかった。

かなりたってから、また川上さんに声をかけてみた。
「川上さん、だいじょうぶですか? なんならまた出直してもいいんですよ」
すると川上さんは
「ありがとう、大丈夫です。でももう少し待って頂いていいかしら」
と言った。
「もちろんいいですけど・・・。だけど・・・」

「私、怖いんです、とっても」
「怖い・・・。そうですか、そうかもしれませんね」
「私病気してましたけど、でも私も、私の夫も、子供も、みんなそれなりに頑張っていて、私が病気だから幸せとはいえませんけど、でもなんとかやっていました。とても悲しいとは思っていても、だから不幸せだとはあまり感じないで済んでいたんです。信じて頂けないかもしれませんが」
「わかりますよ。いえわかるような気がします」
「ここにこうやって座っていて、遺された家族の暮らしを見てしまうとなんだか頑張っていた暮らしそのものが、その思い出がガラスにヒビが入ってしまうように壊れてしまうのかもというふうに思えてきたんです。さらに病気がわかる前には幸せといえるような生活があったのが、その思い出も壊れてしまうのではないかって、とても怖くなってきてしまったんです。今はとても怖くなって」
「・・・」
僕は相槌が打てなかった。
「どうして怖いかって訊かれても、はっきりしたわけはないのですけど。ここに来るまではそういうこと考えてなかったです。考えていたのは夫や子供は食事はどうしているのだろうとか、朝が苦手な夫は遅刻せずに出勤できてるだろうか、子供は学校や塾なんかにちゃんと行けてるだろうかだとか、買い物は、お風呂は、洗濯は、ごみ出しは、犬の世話は、ってそういうことばっかりがとても気になっていました」

          つづく
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小説も書くこともあります。
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