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「新しい生活」  その27

        その27

その後また川上さんはじっと黙って座っていたが、やがて意を決したようにビデオの電源ボタンを押した。選択画面で「自宅」、そして「居間」を選ぶと最初はぼんやりした画面だったがそのうちはっきりした「居間」の様子が映りだした。日付と時刻が画面右下に表示されている。5月23日午後7時37分。あぁ、そうかもうそんなに日にちが経っているんだ。ここ『平穏の郷』に来たのが5月11日だったからなぁ。

居間には二人の子供が長椅子に座ってテレビを見ている。だれか女性の声が聞こえている。
「あなた方、そろそろテレビは止めて食事の支度を手伝ってくれる?お父さんも帰ってくるころだし」
「この番組がもうすぐ終わるから、もうちょっと待って」
と上のお姉さんの方が言った。
「はい、わかりましたよ」

「ただいまぁ~」
父親が帰ってきたようだ。床に寝そべっていた犬が起き上がって玄関に走っていった。
「ただいま、タック」
ワンワンと嬉しそうな犬の鳴き声がしている。
「ただいまぁ」
「おかえりなさ~い」
子供たちと女性が答えた。
「お疲れさま」
女性のいたわりの言葉があった。
この女性は誰だろうか。川上さんに訊いてみようかとも思うけどひたすら画面を見続ける様子なので、声を掛けるのがはばかれる。

「着替えてきます」
父親は着替えのために居間を出て行った。

「さぁ、もうテレビも終わったんでしょ。こっちにきてお皿とか並べてほしいのだけど」
「はぁ~い」
二人の姉妹は台所の方に移ったらしく画面から消えた。

川上さんはまたビデオの選択画面を表示させて台所を選んだ。画面が台所に変わった。台所といってもダイニングキッチンのようで広く、テーブルの上にはもう料理ができているようだ。

「わぁ、おいしそう。ね、おばさん、これ何のフライかな」
「エビフライ、すごいでしょ」
「エビフライ。だいすきなんだ」
と二人とも喜んでいる。
子供たちが『おばさん』って言ってたけど・・・?

          つづく
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Author:ゆたか
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72歳 男 浜松市在住
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なお植物の写真を載せていますがとにかく素人なので植物の名前は正確とは言えません。
小説も書くこともあります。
よろしくお願いいたします。

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