スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小説 「ちょっとした遠足」    その11

           その11

正樹は歩きながらいろいろなことを思いました。清ちゃんが具合悪くなるじゃないかなということはこの遠足をみんながやろうかと言いだしたころから正樹はなんとなく予想していました。たぶん他の子もそのように思っていたのだろうと正樹は思いました。でもみんなはそのことを口に出さず、そぶりにも出さなかったのです。清ちゃんは他の子よりほんの少しだけ、ちょっとだけ常日頃の動さが遅いし、ほんの少しだけ、ちょっとだけ小太りで汗かきだし、体育の時間でも体調が悪くて途中から休むこともあったのです。だから朝とはいえ夏のこの時期の遠足でははやり気分が悪くなるかもしれないとは誰でもそう思っていました。
でもみんな仲良しでした。清ちゃんはほんの少しだけ目が小さいほうだし、ほんの少しだけずんぐりむっくりしていてスタイルがいいほうではなかったのですけど、でも・・・愛嬌があって悪気がなくて優しくて、みんなから、そしてクラスでも、先生たちからもかわいがられていたのです。人気者でした。だからみんな何かあっても清ちゃんをサポートしてあげようと声には出さなかったけれどお互いそう思っていたことを分かり合えていたのです。みんなの気遣いがすばらしいことだな、って正樹はいまさらながらそう思うのでした。清ちゃんを大事にしてあげようと思いました。仲間なんだからね。

清ちゃんは辛そうでしたけど、だけどようやくJA倉本までたどり着くことができました。JA倉本の建物の前はやや広い敷地があって大きな木が木陰をつくっていてベンチが2つおいてありました。清ちゃんは倒れこむようにしてベンチに座りました。やれやれ・・・。ベンチがあってよかった。

「水よりもスポーツドリンクのほうがいいそうだよ。熱中症になんかには特にいいそうだ。あそこの自動販売機で買ってくるね」と篠田君が買いに行きました。
「はい、これ飲んでみたら」篠田君が買ってきたスポーツドリンクを清ちゃんに勧めました。
「ありがとう。私迷惑かけちゃったね」と清ちゃんが元気なさそうです。
「そんなことないよ。特別なことじゃないから。こういうことはよくあることだし、清ちゃんも歩けるんだし、気にしない、気にしない」と橋本さんが元気づけています。
「ありがとう」
「それと何か食べた方がいいということも聞いてる。少しだけね。なにか持ってきてる。あ、当然持ってきてるよね、清ちゃんだもの」と笑いながら篠田君が言いました。
「冗談だよ」と篠田君が言い訳してます。
「うん、ビスケット持ってきてある」と清ちゃんがリュックから取り出して1、2枚口にしました。

戸川君がおどけて「写真撮りま~す」と言ってカメラを構えましたが、「でもやめておくね」
と言ってやめましたが、橋本さんが「もう、冗談やめてよね」と怒ったふりをしました。

他のみんなも水を飲んだりお菓子を食べたりしてます。15分の休憩はちょうどいい長さでしょうかね。

「君たち、何してるの」とJAから出てきた女性の職員が興味深そうに訊ねました。
「坂之上公園まで歩いているんです」と正樹が答えた。
「子供たちだけで?」
「はい」
「気を付けてよ。だけどこの暑いのに、子供は平気ね。へぇ~、そうなんだ」と言いながら建物の中に戻っていきました。

           つづく

関連記事
スポンサーサイト

プロフィール

ゆたか

Author:ゆたか
「ゆたかのブログ 2」へようこそ!
72歳 男 浜松市在住
病身なので更新は時々です。
なお植物の写真を載せていますがとにかく素人なので植物の名前は正確とは言えません。
小説も書くこともあります。
よろしくお願いいたします。

訪問者 カウンター

ご訪問ありがとうございます

検索フォーム

ブログ村

人気ブログランキング

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。