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小説 「ちょっとした遠足」    その12

           その12

みんなは歩いている間お互いに話ができなかった分あれこれとおしゃべりしています。戸川君がその様子を写真に撮っています。
女の子たち、つまり古賀さん、裕子ちゃん、清ちゃん、橋本さんが集まって写真を撮ってもらっています。その中に高橋君が割り込もうとして女の子たちからはじき出されました。高橋君って茶目っ気があったんだ。

「では休憩はこのぐらいにしてまた歩きますがいいですか?」と篠田君がみんなに呼びかけました。
「OK」
「いいよぉ~」
「いいで~す」
「ここからは歩道が少し狭いです。そのつもりでお願いします。坂之上公園の手前では上り坂です。ではしゅっぱ~つ」
歩く順は今までと同じ。みんな行儀よく歩き始めました。清ちゃんも元気を回復して心配はないようです。

信号を二つ過ぎてからしばらくしてみんなの列の後ろ、つまり橋本さんの後ろからいやにうるさく自転車のベルが鳴りました。
「おい、そこ、どけ、どけ。邪魔だ」
ちょっと怖そうな汚れた作業服を着た男が大きな声でどやしつけるような言い方です。
しかし後ろを振り返った橋本さんが言い返しました。気が強いです。
「ここは歩道です。歩行者優先です。それに狭いし、あなたこそ自転車を降りて歩いてください」
「なんだとぉ。このガキがぁ~。えらそうに。邪魔だから邪魔だって言ってんだ。どけ」
「どきません」
「頭にきた。じゃ、どかしてやろう」自転車を降りた男が橋本さんに近寄るといきなりバシッと橋本さんの頬を叩きました。後ろを振り返って見ていたみんなが驚いています。篠田君が駆け寄ってきましたが、男はさらにもう1回橋本さんを叩きました。ひどい男です。橋本さんはとうとう泣き出しました。
「何するんですか。子供に乱暴な」篠田君も勇気があります。
「何ぬかすか。だいたいお前たちが悪いんだ。通行の邪魔だ。どきやがれ」と下品な言葉遣いです。
「いえ、ここは歩道ですから、僕たちはどかなくていいんです。もう少しいけば歩道も少し広くなりますからそこまで後ろから自転車を押してついてきてください」篠田君も引き下がっていません。
男が篠田君も叩こうとしましたが、篠田君はそれを察してうまくよけました。正樹が大きな声で「このおじさんが乱暴してます。止めてください」と近くにいる人たちに声をかけました。
見ていた通りがかりのおばさんが「あんたが悪い。子供を叩くなんて。かわいそうに。泣いているじゃないか。ひどいよ。あんたは子供たちの後ろからついていきなさい。ここは道が狭いんだから」と言ってくれました。
「女の子を叩くなんて。謝ってください」と篠田君が男に言いました。
「謝れだと。そんな必要はない」男がすごんでいます。
「謝ったら。おとなげない」とおばさんがきつい声で言いました。
「なんだ、なんだ、みんなして俺のことを悪く言いやがって」
「この先に交番があるんだけど」とおばさんが言いました。
交番と聞いて男がちょっとひるんだようです。
「謝りゃいいんだろ、謝りゃ。しょうがねぇなぁ。ちっ。悪かった、ごめん」
そしてぶつぶつ言ってますがそれ以上のことはしないようです。

また子供たちは歩き始めました。おじさんはその後ろから自転車を押して歩いています。

しかし橋本さんは叩かれ損ですねぇ。

           つづく
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Author:ゆたか
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72歳 男 浜松市在住
病身なので更新は時々です。
なお植物の写真を載せていますがとにかく素人なので植物の名前は正確とは言えません。
小説も書くこともあります。
よろしくお願いいたします。

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